世界の関心の薄れと

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関心の薄れは誰の首を締めるか

2022年2月24日に世界中が驚愕したロシアによるウクライナ侵攻が発生した。この大きな衝撃は未だに世界がこれまで戦後、冷戦後に築いてきた体制を揺るがし続けている。

ウクライナはゼレンスキー大統領を始め、国民の団結により、世界の多くの人々が予想した早期陥落の予想を覆し、未だにロシアをウクライナ東部に押し留め、戦線を膠着させている。

このおよそ4ヶ月の間、西側だけでなく世界中の国がウクライナを支持しウクライナと共にあることを示してきた。だがコロナによる世界物流の停滞によるインフレに加え、今回の侵攻によって燃料と食料の値上げに拍車をかけている。そして徐々にウクライナ侵攻の報道に慣れ、異常が日常化している状態になった。もちろん連日ニュース番組やメディアではウクライナ侵攻の報道はされるもののそのニュースバリューや人々の関心は落ちている。そして失われた人々の関心はインフレとそれに振り回される政治や経済の話に移動している。

今のこの状態はウクライナ侵攻にどのような影響を与えるだろうか?

ウクライナへの熱狂的な支持により、ロシアの侵攻の痛みをヨーロッパや世界が共に受け入れようとする姿勢は示された。だが戦争への関心の低下と生活を脅かすインフレ、そしてその原因はこの侵攻にあると考えたとき、多くの人が考えることは「早期停戦」と「戦争以前の経済状況に戻ること」になるだろう。

時間が経てば経つほどその声は増えることが予想される。確かに原油価格は2021年4月では61.71$だったものが2022年4月では101.78$*1に、また穀物では例えば小麦は米国小麦先物で2021年4月に700代だったものが2022年4月に1,001代*2に上昇している。またウクライナやロシアの輸出が期待できないことで、これまで輸出をしていた国が自国を優先して小麦やパーム油などの輸出を取りやめている*3

コロナではロックダウンにより労働者が出社できず、工場で生産を行うことができなくなり半導体や工業製品などのモノの値段が上昇した。今回値上がるのはより生活に必須な穀物と資源になる。先進国の日本でも今夏、今冬の電力需給で需要が超過し政府が節電を求める事態になった。また穀物不足により世界で4,700万人*4が飢餓に陥る可能性があり、世界各国でエネルギーと食料の問題が緊迫した状況になっている。

このような状況下で、かつ関心が薄れてきたウクライナ侵攻により、食料が不足する国や、今年の冬にはヨーロッパの国々でさえ、暖房に使う燃料のおそらく異常な高騰のために、もしかしたらロシアに融和的になるかもしれない。だが、もし資源の問題や穀物の問題でロシアに融和的になればロシアは迷うことなくウクライナを手中に収めようとするだろう。そしてロシアは核兵器以上の兵器として資源と穀物を手に入れ、世界をコントロールすることが可能になってしまう。またこれはロシアと手を組む国が他国を無理難題で侵略できることを意味し、そして支配地域の人々は蹂躙される。もしウクライナ侵攻前の平和的な体制に戻したければ、矛盾するようだが、ロシアに対しては常に強く当たらないといけない。もし電気代が数倍になっても、パンの値段が破格の状態になっても、家に乗り込まれて無残に蹂躙されることと比較しなければいけない時代になった。日本にとってロシア共和国は隣国であり、日本が近代化したあとロシア帝国とは戦争を行い、ソビエト連邦とは紛争を繰り返した。過去のロシアと戦争をしたことがある国々は、ロシアとの戦争は喫緊の課題ではなくても、いずれ起こるものとして捉えておく必要がある。そして自国でウクライナの惨状が起きる可能性があることも考える必要がある。

ウクライナは遠く離れた国だが、ロシアという大きな国を挟んだ国同士である。また日本の隣国のロシアが戦争状態に入っていることは常に関心を持って見ていく必要があるんだと思う。もしかしたら関心を持ち続けることが将来に起こりうる出来事への先手になるかもしれない。

(*素人が書いたもの。根拠や出典はない。)

 

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*1:原油価格推移($/バレル)新電力ネットhttps://pps-net.org/statistics/crude-oil

*2:小麦先物 https://www.pwalker.jp/wheat.htm

*3:小麦生産2位のインドが輸出停止、国内価格を抑制 https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-india-wheat-idJPKCN2N10NM

*4:ウクライナ情勢と世界の食糧危機 https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/900/468797.html

泥沼化とヨーロッパ

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おそらくロシアとウクライナの戦争はこのまま泥沼化する

ロシア側の目的はキエフの陥落からウクライナ国内に自国支配圏を作り上げることにシフトしたように思われる。特にドネツク、ルハンシクから伸びるアゾフ海沿岸やクリミアからオデッサにかけての黒海沿岸に注力を変更している。支配を目論んでいることはこれらの各自治体の首長を親ロシア派に変えたり、ロシア系メディアを流したりなど「ロシア化」しようとしていることからも伺える。仮にロシアの支配が続き、ロシア的な国内統制、つまり情報を統制して反対者をことごとく逮捕する大衆への支配が行われれば反ウクライナ的な世論を醸成することも可能だと考えているのかもしれない。

一方でウクライナ政府側からすればクリミアを含め領土の割譲は考慮に入れることはできないだろう。今回のロシアによる大義のない不当な攻撃により、ウクライナ政府が弱腰的な妥協案を受け入れるのは難しい。そのためロシアにとっては戦力の配分と再構成、ウクライナにとっては首都防衛のための装備の準備期間として、短期的な停戦協定は実現されるが、これはどちらかの偽旗作戦により、準備ができた方から破られることになると思われる。

ロシア政府は大きな損害を出している中で、何らかの戦果を挙げる必要がある。その戦果はドネツク、ルハンクス両人民共和国の独立だけでは流れた血が多すぎるだろう。当初の目標であるネオナチ(親ナチというより反ソ連組織の意味合いだろうが)の打倒が成功していない状況では、なぜそれが成功しないか、または何が成功したかを説明する必要がある。それはウクライナの「開放」作戦は南東部で成功してクリミアの懸念材料の真水地域を確保した、というストーリーが成り立ち、さらにこれはウクライナ全土の開放も匂わせることができる。

西側はゼレンスキー政権が打倒されないようになんとしても資金や装備で支えるだろう。また停戦によりウクライナ側が奪還した地域では凄惨な状況が国内外に伝えられ、ロシアと妥協できる状況に無いという共通認識が起こりうる。

今回仮に停戦協定が結ばれたとしても、それはおそらく長期的な戦争停止にはなりえないと思われる。戦争そのものは両国に取り返しがつかないほど莫大な損害を発生させている。しかし状況がその損を超えて戦争を実行させる状況を作りかねない状態にあり、それは時間の経過とともに悪化する。おそらくウクライナ全土からのロシア軍の撤退は、ウクライナ政権の妥協だけでなく、西側のロシアへの大きな介入と妥協がなければ達成されないだろう。ロシアの侵攻によりヨーロッパ世界は目覚めた。だがロシアを軟化させるには2月24日前のヨーロッパのようなハト派になり、ロシアの終戦後の国際舞台への復帰や資金援助などを行われればならない。この複雑なジレンマがこれから来る大きな問題になるだろう。

 

(*素人が書いたもの。根拠や出典はない。)

 

 

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ロシアの落とし所を考える

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ウクライナ全土の占領は戦前から無理だとわかっていた。

そのため”ネオナチ”のゼレンスキー政権を打倒して親ロシアの傀儡政権を樹立し、両共和国の独立とクリミア半島のロシアへの帰属を新政権に認めさせる方針だったに違いない。そしてロシアはクリミアでの成功体験から今回の作戦も短期間で対策が可能だと考えていた。しかし2014年以降米国が支援し、またウクライナ愛国心が高まっていた状態をロシア政府は軽んじていた。米国が2月17日に開戦する予測を立てていたにもかかわらず、明らかに北京冬季オリンピックの閉会式である2月20日を待つようにして中国に配慮を見せながら2月24日に攻撃を始め、パラリンピックが始まる3月4日までにすべてが完了している想定だったと思われる。ウクライナはロシアだけでなく世界中の予想を遥かに超える耐久力を見せ、ゼレンスキーは混乱期の政治家として抜群の行動力で市民を鼓舞した。同様にロシアが実際に戦果を切ったことでドミノが倒れたように欧州が結束し、G7が結束し、そして世界が結束した。ウクライナ軍や市民が犠牲になりつつも、ロシアの想定が1日1日と伸びるに従い、ロシアは世界から大きく孤立し、経済は危機的な状況に陥る。

気になるのは戦争の行方だ。短期決戦でかつ一般市民に被害が最小限になるように配慮されていた戦争初期に比べ、現在は目標に対して無差別に攻撃し、かつ市長を誘拐して親ロシア派の新市長を立てるなど、街の占領を目的にするような行動をしている。またクリミアから両共和国の中間点にあるマリウポリには強烈な攻撃が加えられており、おそらくアゾフ海に面した沿岸部を支配地域に入れようと目論んでいるのではないかと考えられる。また今後はオデッサに上陸するとの報道もあり、ウクライナの海岸線全域をロシアの支配下に入れようとしているのではないかと想定される。

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これは推論だが、ロシアはゼレンスキー政権の打倒を諦め、地域の占領に方針を転換したのではないかと考えている。マリウポリを占領すればアゾフ海はロシアのものになり、オデッサを占領すれば黒海の半分はロシアのものになる。またチェルノブイリからハリコフそして両共和国にまで支配権が及べば、ロシアとベラルーシの国境線はウクライナ側に広がり、そこに駐屯すれば常にキエフに圧力をかけることができる。

これは2つの利点があると考える。ひとつは戦争が長期間になる場合、常にキエフを囲っている状況を作り出すことができることだ。もうひとつはロシアが有利な停戦条約を結ぶため、占領地の返還を交渉カードにすることだ。これはウクライナはもとより欧州を念頭に置き占領地を部分ごとに返還交渉することでロシアの対応に対する返答として経済制裁を段階的に解除させる方針を取るのではないかと考えている。

いずれにせよ、ロシアはウクライナ全土を掌握する能力がなく、またゼレンスキー政権が倒れないとなると別の戦争目標が必要になる。戦争の期間が長くなればなるほどロシア経済は崩壊に近づく。強いロシアを標榜してきたプーチンにとって、ロシア経済が窒息することは自身の政治生命だけではなく、自身の思想にとっても大きな落胆をもたらす。プーチンが開戦まで想定していたプランはすべて崩れていると言っても良いだろう。

 

(*素人が書いたもの。根拠や出典はない。)

 

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プーチンの夢

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プーチンソビエト連邦を復活させたいと思っているのではないか

ロシアの積極的な侵攻は南コーカサス、つまり旧ソ連のザカフカースウクライナで起きている。NATOの東方拡大が問題なら国境を接するバルト諸国がNATOに加盟を求めた時点で今回と同じような「侵攻」があるべきで、結果としてそれはなかった。一方でウクライナEUに加盟しようとしたユーロ・マイダンではロシアは軍事的にも重要なクリミア半島をすぐ支配下においた。ロシアが積極的に介入、コントロールしようとしているのは1922年にソビエト連邦が誕生した時の構成国である、ロシア、ウクライナベラルーシ南コーカサスであることがわかる。

今回、ウクライナNATOに所属しようとした。もしウクライナNATOに所属すればウクライナがロシアの構成国として戻る可能性はほとんど無くなるだけでなく「敵側」につくことになる。プーチンはかつてベラルーシの吸収統合を示唆したようにウクライナも吸収統合し、ソ連の領土の復活を試みようとしたのではないか。もしそうだとすると、今回のウクライナ侵攻でプーチンが引く可能性は高くないと考えられる。つまり彼の目標がソ連領土の復活だとするなら、どのような手段を使ってもウクライナに傀儡政権を立て、反ロシアの国民の意思を砕き、将来的なロシアとの統合を狙うからだ。

この試みはウクライナをロシア化しようとするもので、民族主義や自国の独立の意思が強くなっているウクライナ人にとっては受け入れられないだろう。この両者の考え方の違いは埋まるものではない。そのため戦闘が短期で集結するような条約を結ぶことは難しいのではないか。一方ロシアが懸念されているウクライナの次の国を侵攻しようとしている可能性は低いと考えられる。仮にウクライナに他国の軍が展開した場合、その国に対して攻撃することはあるかもしれない(これがプーチンが発言した核兵器による他国の介入への抑制になる)が、現段階ではウクライナに集中するだろう。そのため旧東欧諸国やましてや北海道にロシア軍が展開される可能性は低いと考える。

今後ロシアはウクライナをどうするだろうか。ロシアに対する経済政策が強まるなかで、ソ連を復活させようと考えるなら、企業を再度国営化することまで考えているのではないかと思う。ガスに対して下心が残っている欧州に対してロシアは次の買い手の中国を見つけている。欧州のガスはロシアに依存している国が多く、西側諸国の国民もガス料金の高騰に耐えないといけない。むしろ専制的に国民に強制力を使えるロシアに対して、民主的な基盤を持つ西側諸国の方が政治的持続力の弱さがある。当初は短期的にウクライナの首都キエフを占領して、傀儡政権を立てようとしていたがそのプランはもう使えない。そのため中長期戦に移行して、ウクライナの国土を焦土化することによりウクライナ国民の士気を削ぎ、資源と穀物の高騰により西側諸国の支援を少なくさせようとするのではないか。しかし一方でそれはロシア軍の消耗も激しくなることが予想される。これは仮にNATO軍が攻めてきた場合、ロシアの強い対抗措置が核兵器しかないという事態になりかねないが、それが最大の抑止になることをわかっているので、中長期的な作戦も取れると考えているだろう。

プーチンソ連の復活とロシアの経済を天秤にかけ、ソ連の復活にかじを切った。西側の経済制裁は民間企業も始めており、ロシアでのロシア人従業員の解雇を始めているという。それが親西側だった人々を反西側に変えることもあるだろう。力による現状変更は暴力による衝突だけではなく、その余波や波及効果がとてつもなく大きくなり誰も予想できないところに着地する可能性があることは歴史を見るといくつも例がある。第一次世界大戦セルビアの青年により引き起こされた。彼の暴力的な行為により、軍事だけではなく経済や国家体制まで変わった。彼の目的は達成されたかもしれないが、その余波はとてつもないものになった。今回のロシアによるウクライナへの攻撃の影響はこの両国だけにとどまるものではない。新しいパラダイムが始まるだろうが、それはおそらくポジティブなものにはなりにくいだろう。

(*素人が書いたもの。根拠や出典はない。)

 

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2月28日_ウクライナ侵攻

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報道

2月26日、欧米西側諸国がSWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)からロシアを除外することを決定した。SWIFTとは国際的な銀行同士の取引の事務的な処理を行うネットワークだ。これが行われるとロシアと金の取引をすることが難しくなり、経済活動を締め付けることができる。例えば、Google PayやApple Payなどがロシアでは使えなくなる(*1)。また西側諸国がロシアの銀行に対する制裁も行っており、ロシアの経済にとって大きな打撃になることが予想される。これに対してロシアは核抑止部隊に高度警戒態勢を命令し、核兵器による脅迫を行った。開戦がまもないときから、プーチンはロシアは最大の核保有国のひとつだと発言しており、戦術核の訓練などをしていることからも、現実的な驚異になっている。

2月28日、ルーブルは暴落し過去最高安値になっている。このような中でロシアでは外貨を引き出そうする人がATMに長蛇の列を作った。また、ルーブル建てのビットコインの取引高が上昇している。ロシア中央銀行政策金利を9.5%から20%に緊急的に利上げし、財務省と合わせ外貨建て収入の80%を売却するように各企業に通達した。

ロシアとウクライナの停戦交渉は日本時間の本日に行われる予定になっているが実際に停戦になるかは不透明だ。

f:id:econ00:20220228185456p:plain

https://g.co/finance/RUB-USD?window=5D

 

 

*1

“ロシアがSWIFTから排除されれば、結果的にGoogle PayもApple Payも使えなくなる。”(https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2202/27/news061.html

 

参考:

 

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ここからどうなるだろうか。

明らかなのはロシア軍の作戦はうまくいっていないということだ。多くの人は開戦当初ロシアによる電撃作戦が成功して、力による現状変更が行われると思っていたが、ウクライナ軍の抵抗と西側諸国の援助によりそれが防がれている。おそらく世界でもロシア国内でもこの結果は予想外だろう。これによりロシアの当局者は相当苛立ちや不満を持っていることが予想される。加えてロシア軍の中には長期的な国境線の駐留や、訓練と聞かされていたなどから士気が低い兵が多いと見られる。またウクライナの民間人にはできるだけ手を出さない方針が明確であり、シリアなどでやったような無差別爆撃などは行っていない。今後、ロシアが焦るほど、またウクライナの民間人がロシアに対して攻勢に出るほど、戦闘方法が雑になることが予想されるのではないか。

今回の停戦交渉は次のロシア軍の作戦にも関わる重要な交渉だが、ロシアはこの時点では要求を下げることが難しいと思われ、ウクライナはそれを飲むことができないだろう。そうなれば戦争は継続することになりさらに犠牲者を出しかねない。

ドイツやスウェーデンが方針転換しているように、ヨーロッパは軍拡の時代に入ることになる。これはロシアにとってより厳しい環境になることは間違いない。おそらくNATOに比較してロシアの優位性があるのは戦術核兵器の分野だろう。ロシアが追い込まれれば追い込まれるほど、このスイッチに手が伸びる可能性が増えることは想像に難しくない。

ロシアに対する経済的締付けは時間が伸びれば市民生活を中長期に渡って壊す事になり、ロシアの政権維持は難しくなるだろう。強いリーダシップにより、経済的に崩壊したロシアを復活させたプーチンだが、彼によりロシア経済が再度危機に直面するのはとても皮肉に映る。

古代ギリシアでは言葉が通じない相手をバルバロイと呼んでいた。言語が通じないということは、自分とは違うグループだと明確にわかるものだ。今回のロシアによるウクライナ侵攻は旧ソ連圏でお互いにロシア語が通じる。また同じスラブ人同士でもある。そこに対して無差別に攻撃を加えるのは避けたいという心境になることに疑いはない。ただし開戦当初はそうであっても互いに恨みを持つようになれば、その心理的な互いの均衡状態は崩れるだろう。泥沼化ではなく、短期的に停戦をすることが最も大事なことだと思う。

 

画像:https://pixabay.com/ja/photos/%e3%83%95%e3%82%a3%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%83%89-%e4%b8%98-%e7%b4%8d%e5%b1%8b-%e8%be%b2%e5%9c%b0-7025238/

開戦した(記事は昨日書いたもの)

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ロシア開戦:東部ウクライナの保護のため、ウクライナへの攻撃を始めた。日本時間正午頃。現地時間未明から朝に掛けて。キエフオデッサなどに攻撃を行う。また軍車両がウクライナに侵入、ベラルーシ側からも侵入しているという報道もあり。ウクライナキエフからは多くの人が離脱中。日本時間17時ではロシア攻撃の続報が出てこなくなっているが、Twiterなどでは偽情報が多数あり、オデッサの上陸やウクライナ空軍のルーマニアへの領空侵犯などその他の情報が出回っている。その目的は不明だが、現地や情報を見ている人たちの混乱、各政府当局者の情報混乱が目的か。

 

ここからどうなるだろうか(*素人が書いたもの。根拠はない。)

ロシアの目的はウクライナをロシアの勢力圏にすることなので、軍事的な侵攻とともに各共和国政府に対する罪として現政府の高官を逮捕、裁判をすること。新政権樹立までロシア軍を駐屯させること。反対勢力を警察権、軍事権を使い徹底的に潰して、反対することを萎えさせること。そして数年かかっても親ロシア政権を樹立させることだ。ロシアはアゾフ海からクリミア、黒海にかけてロシア軍の支配権に入れるだろう。さらにオデッサ周辺にも展開して、ウクライナの海を削減する。またキエフも同様に文化拠点としてロシアの拠点にする可能性がある。経済ではエネルギー価格の上昇が確実に起こり、インフレが世界全体に波及する。またウクライナは小麦の生産国なので穀物価格にも大きく影響する。特にヨーロッパではロシアのガスに依存する部分が大きく、市民生活に重大な影響を与える。今の問題はコロナの流行で物流の停滞による各国のインフレと中央銀行のインフレ対策による利上げやQT(量的締め付け)による経済の沈静化だ。ここにインフレを更に加速させる資源高、穀物高が来ると見られる。先進諸国はある程度耐えられるかもしれないが、途上国はリーマンショックの後に資源、穀物の価格が上昇したように痛手を食らう可能性がある。特に穀物価格の上昇がアラブの春のような政変を影響を及ぼしたような影響が発生するかもしれない。ロシアはどこまで攻め込むだろうか。少なくともドニエプル川の東側を占領すること、そして西部ウクライナが軍事的に白旗を上げるまで西側に進むのではないか。ただし極西にはNATOポーランドがいるため、そこまでは攻めないだろう。

ロシアとUKUSA、大陸欧州が持っているカードを比較しないといけない

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ウクライナ侵攻になったとき、どちらの方が優位か?

(*素人が書いたもの。根拠や出典はない)

 

ロシアの参戦理由はおそらく東部ウクライナのロシア系住民の保護になるため、目的は東部地域の独立の補助になると思われるので、キエフまで侵攻する大義名分がない。しかし仮にロシアとベラルーシが同盟関係にあれば、ロシアの参戦と同時にベラルーシウクライナに対する侵攻をする可能性があり、かつ地理的にキエフに近いのでウクライナに対する圧力はより強いものになる。ここでロシアはNATOの非参戦が確約された状態で侵攻できる状態だ。つまり盤面上、敵国はウクライナだけであり、ロシアとベラルーシの連合軍に対しては数的優位を得ることができる。また作戦範囲が明確で、かつウクライナ軍の装備も旧ソ連時代のものが主流なことから、目的を達成する時間の想定もより正確にすることができるだろう。

 

ロシアの想定

  • 戦争状態ではロシアはウクライナより優位である。
  • 経済状態はロシアは今より悪くなるだろうが、資源があるため輸出先(中国)に困ることはない。
  • 将来想定はNATO軍がウクライナ東部に駐屯するリスクはロシアの長期的なリスクになる可能性が高いため、実施される前にNATOに断念させる、またはそれを実行するにはリスクが発生すると印象をつける必要がある。これはクリミアも同じで、将来、ロシア海軍の主力艦隊の海軍基地と黒海から地中海にかけてプレゼンスが減ることをしてはならない。

 

UKUSAの想定

  • 戦争状態ではウクライナに派兵することはない。
  • 経済状態はロシアに対する強い経済制裁をして、ロシアの行動を思いとどまらせるつもりである。
  • 将来想定はNATO軍をウクライナバルト三国に展開すれば、超音速ミサイルの範囲にモスクワが入ることになり、戦略的、外交的優位を築くことができ、ロシアの潜在的驚異をある程度抑えることができる。これはロンドンのロシア系住民に対する圧力やロシアの影響下にある中南米社会主義国家、アジアにある中国を始めとしたロシアに友好的な国に対する圧力にもなる。

 

西ヨーロッパの想定

  • 戦争状態ではウクライナに派兵することはないが、NATO所属の東欧諸国への軍備力増強を行う。これはNATONATO所属国とは軍事同盟であることをロシアと旧ソ連圏のNATO加盟諸国にみせるためである。
  • 経済状態では国によって異なる。エネルギーを自活できる国(フランスなど)と、ロシアからエネルギーを輸入している国(ドイツなど)で、国内の状況が異なるためNATOとしての政治判断が一枚岩になりづらい状態が発生している。経済制裁ではおそらくUKUSAと同調するだろうが、ロシアと経済関係が深い国ほど国民生活はより厳しいものになり、政治的な舵取りが必要になるだろう。
  • 将来想定はNATO軍を拡大することにより、西ヨーロッパの安全保障がより強固な状態になる。陸路的な意味合いでも、ミサイル攻撃の距離的な意味合いでも旧ソ連圏の国が第一の障壁になる。冷戦期間中に国境だった西ドイツをポーランドルーマニアブルガリア、バルト諸国まで拡大することが可能になっている。このままなら将来的にフィンランド黒海周辺国家など、NATOの拡大は続くことになるだろう。

 

東ヨーロッパの想定

  • 戦勝状態ではロシアに対する防衛力を強化する、またはNATOの軍事展開を期待するだろう。ウクライナへの侵攻はロシアに近いほど、これらの国に現実的な驚異を与えることになる。
  • 経済状態では国による差が激しく、EU中心国家への移動する労働者が多い。ロシアからの経済的影響や戦争状態になった時のこれらの国に対する影響がどの程度あるか不明だ。
  • 将来想定はNATO軍の基地を自国に置きたいと思う国が増加するだろう。地理的要因から、まずロシアの第一目標になるのは自国だとわかっているし、今回のウクライナに対する侵攻度合いにより、自国への侵攻速度やその驚異を体感することになる。旧ソ連でも人口、軍事力が弱くないウクライナが侵攻されることで自前の軍事力で何ができるかが明確になる。そのためロシアに対する脅威がより差し迫ったものになるだろう。

 

EU

  • 戦争状態ではEUとしてNATOに協力する。EUの軍隊としてのNATOの意味合いがより強くなり、経済制裁、軍事的実行力を持つヨーロッパの統合が加速する契機になるかもしれない。
  • 経済状態ではECBでは利上げを予測しているが、東ヨーロッパ諸国で軍事費などの増加が見込まれるだろうなかでプライマリーバランスの監視強化が行われるだろう。またウクライナ侵攻がウクライナ全土になった場合、移民問題が再発するため、移民問題の予算の確保が必要になる。おそらくフランス、ドイツなどが受け入れ先になるが、その財政負担がより問題になる。戦争開始によりインフレが深刻な問題になり、特にエネルギー、食料の高騰が市民生活に重要な問題を生じさせる。インフレを抑制するため、より利上げの見込みが高くなるだろう。その影響で、EU域内の民間経済は冷え込むことが予想される。特に東ヨーロッパなど途上国が多い国がその強い被害を受けることになるだろう。その結果各国でロシアと融和する政党を支持する議会が増える可能性がある。
  • 将来想定はEUNATOの統合が想定される。一方で各国による制度、経済などがバラけている状況はEUNATOとしての意思決定を阻害する可能性が高い。それが経済的問題が発生すればイギリスのようにEU離脱という可能性も含んでおり、「何を持ってEUを構成するか」という基本理念への賛同と、経済的互恵関係がなければ、統一欧州としてのプレゼンスが不安定化する可能性がある。そのためフランス、ドイツなどEUの中心国家はロシア問題の現実に直面する東ヨーロッパに財政的、軍事的支援をほぼ永久に行うことになり、ヨーロッパ版の「ヨーロッパの警察」の役割を担わざるを得ない状態になるだろう。