ハマスがイスラエルを攻撃した

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イスラエルは国際社会の同情を買いながら、ガザ地区ハマスの掃討作戦をするだろう。

イスラエルが最も重要視するのはアメリカとの関係なのは疑いようがない。もしアメリカとの関係がなくなればイスラエルが置かれている地理的な位置と同じように孤立化するからだ。そのため核兵器や非人道的な攻撃を行うことができない(ただしイスラエルは過去にも西側が持ちうる”ライン”を超えるようなあらゆる攻撃をパレスチナ自治区に加えていたことは忘れてはならない)。

ハマスイスラエルの報復を予見しているはずだ。2023年10月6日は、第四次中東戦争(1973年10月6日から10月23日)から50年になる節目の年で*1、また10月6日はユダヤ教の贖罪の日(ヨム・キプル)で安息日になっている*2。そのため、戦略的な行動というより、節目に合わせた攻撃と見ざるを得ない。しかし、今回の攻撃はかなり用意周到に準備されており、イラン製の武器やドローン攻撃、一部ではパラグライダーを使った空挺作戦も行われている。その中でイスラエル軍の戦車や装甲車が鹵獲されたり、軍人や警察、民間人が”捕虜”としてガザに連れ去られている。特にネットに出回っているハマス側の動画では、ウクライナ軍がロシアに対して行っているようなイスラエルの重要拠点に対するドローン攻撃の様子が公開されている。イスラエルのネタニヤフ首相は戦争状態を宣言し*3イスラエル空軍によるガザ地区への空爆の様子が動画で公開されている。

ネタニヤフ政権は2022年12月に第一党を”リクード”党で連立政権として発足している。閣僚の中には右派が多く任命され、”イスラエル史上最も右よりの政権”とされている*4。また2023年7月にネタニヤフ政権は裁判所を弱める司法制度の改革を可決し、市民が反対デモを行っていた*5。このように民主的な政権から、政権が多くの権力を持つ専制的な体制への移行を行っている。

ハマスは2007年のガザの戦闘でファハタを追放後、ガザ地区を当地している。イスラエルとは散発的に戦闘を繰り返しており、2008年のガザ紛争、2014年のガザ侵攻*6では両方ともイスラエルパレスチナ紛争で第四次中東戦争以降最大の犠牲者を出している。

ネタニヤフ政権は今回の攻撃を受け、ハマスと”穏便な合意”をするつもりはないだろう。そのため国際社会の停戦に向けた動きが重要になるが、アメリカやイギリスはイスラエルを支持しており、英米の介入による早期停戦は難しい。アラブ諸国パレスチナに同情的で、サウジアラビアカタールパレスチナ問題が起因しているとしている。またアメリカはイスラエルサウジアラビアの国交正常化に向けた動きを促していたが、難しい状況に追い込まれる*7。もし停戦をするなら、2014年と同じように両者が勝利宣言を行い、軍事に勝るイスラエルガザ地区の領土を一方的に”併合”するのではないか。しかし今回はハマスの先制かつ民間人への攻撃のため、イスラエルが弱腰になることはありえないが、一方で無差別な攻撃はアメリカを始めとした西側の支持の減少を招く。またイスラエル空爆や地上軍の投入をした場合、ハマスガザ地区の市民や”捕虜”を”人間の盾”として利用することが予想される。イスラエルの目標がまだ不明なため、どのような経過をたどるか不明な要素が多いが、今回の攻撃が新しい紛争になることは間違いないだろう。

 

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