泥沼化とヨーロッパ

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おそらくロシアとウクライナの戦争はこのまま泥沼化する

ロシア側の目的はキエフの陥落からウクライナ国内に自国支配圏を作り上げることにシフトしたように思われる。特にドネツク、ルハンシクから伸びるアゾフ海沿岸やクリミアからオデッサにかけての黒海沿岸に注力を変更している。支配を目論んでいることはこれらの各自治体の首長を親ロシア派に変えたり、ロシア系メディアを流したりなど「ロシア化」しようとしていることからも伺える。仮にロシアの支配が続き、ロシア的な国内統制、つまり情報を統制して反対者をことごとく逮捕する大衆への支配が行われれば反ウクライナ的な世論を醸成することも可能だと考えているのかもしれない。

一方でウクライナ政府側からすればクリミアを含め領土の割譲は考慮に入れることはできないだろう。今回のロシアによる大義のない不当な攻撃により、ウクライナ政府が弱腰的な妥協案を受け入れるのは難しい。そのためロシアにとっては戦力の配分と再構成、ウクライナにとっては首都防衛のための装備の準備期間として、短期的な停戦協定は実現されるが、これはどちらかの偽旗作戦により、準備ができた方から破られることになると思われる。

ロシア政府は大きな損害を出している中で、何らかの戦果を挙げる必要がある。その戦果はドネツク、ルハンクス両人民共和国の独立だけでは流れた血が多すぎるだろう。当初の目標であるネオナチ(親ナチというより反ソ連組織の意味合いだろうが)の打倒が成功していない状況では、なぜそれが成功しないか、または何が成功したかを説明する必要がある。それはウクライナの「開放」作戦は南東部で成功してクリミアの懸念材料の真水地域を確保した、というストーリーが成り立ち、さらにこれはウクライナ全土の開放も匂わせることができる。

西側はゼレンスキー政権が打倒されないようになんとしても資金や装備で支えるだろう。また停戦によりウクライナ側が奪還した地域では凄惨な状況が国内外に伝えられ、ロシアと妥協できる状況に無いという共通認識が起こりうる。

今回仮に停戦協定が結ばれたとしても、それはおそらく長期的な戦争停止にはなりえないと思われる。戦争そのものは両国に取り返しがつかないほど莫大な損害を発生させている。しかし状況がその損を超えて戦争を実行させる状況を作りかねない状態にあり、それは時間の経過とともに悪化する。おそらくウクライナ全土からのロシア軍の撤退は、ウクライナ政権の妥協だけでなく、西側のロシアへの大きな介入と妥協がなければ達成されないだろう。ロシアの侵攻によりヨーロッパ世界は目覚めた。だがロシアを軟化させるには2月24日前のヨーロッパのようなハト派になり、ロシアの終戦後の国際舞台への復帰や資金援助などを行われればならない。この複雑なジレンマがこれから来る大きな問題になるだろう。

 

(*素人が書いたもの。根拠や出典はない。)

 

 

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