ロシアの落とし所を考える

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ウクライナ全土の占領は戦前から無理だとわかっていた。

そのため”ネオナチ”のゼレンスキー政権を打倒して親ロシアの傀儡政権を樹立し、両共和国の独立とクリミア半島のロシアへの帰属を新政権に認めさせる方針だったに違いない。そしてロシアはクリミアでの成功体験から今回の作戦も短期間で対策が可能だと考えていた。しかし2014年以降米国が支援し、またウクライナ愛国心が高まっていた状態をロシア政府は軽んじていた。米国が2月17日に開戦する予測を立てていたにもかかわらず、明らかに北京冬季オリンピックの閉会式である2月20日を待つようにして中国に配慮を見せながら2月24日に攻撃を始め、パラリンピックが始まる3月4日までにすべてが完了している想定だったと思われる。ウクライナはロシアだけでなく世界中の予想を遥かに超える耐久力を見せ、ゼレンスキーは混乱期の政治家として抜群の行動力で市民を鼓舞した。同様にロシアが実際に戦果を切ったことでドミノが倒れたように欧州が結束し、G7が結束し、そして世界が結束した。ウクライナ軍や市民が犠牲になりつつも、ロシアの想定が1日1日と伸びるに従い、ロシアは世界から大きく孤立し、経済は危機的な状況に陥る。

気になるのは戦争の行方だ。短期決戦でかつ一般市民に被害が最小限になるように配慮されていた戦争初期に比べ、現在は目標に対して無差別に攻撃し、かつ市長を誘拐して親ロシア派の新市長を立てるなど、街の占領を目的にするような行動をしている。またクリミアから両共和国の中間点にあるマリウポリには強烈な攻撃が加えられており、おそらくアゾフ海に面した沿岸部を支配地域に入れようと目論んでいるのではないかと考えられる。また今後はオデッサに上陸するとの報道もあり、ウクライナの海岸線全域をロシアの支配下に入れようとしているのではないかと想定される。

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これは推論だが、ロシアはゼレンスキー政権の打倒を諦め、地域の占領に方針を転換したのではないかと考えている。マリウポリを占領すればアゾフ海はロシアのものになり、オデッサを占領すれば黒海の半分はロシアのものになる。またチェルノブイリからハリコフそして両共和国にまで支配権が及べば、ロシアとベラルーシの国境線はウクライナ側に広がり、そこに駐屯すれば常にキエフに圧力をかけることができる。

これは2つの利点があると考える。ひとつは戦争が長期間になる場合、常にキエフを囲っている状況を作り出すことができることだ。もうひとつはロシアが有利な停戦条約を結ぶため、占領地の返還を交渉カードにすることだ。これはウクライナはもとより欧州を念頭に置き占領地を部分ごとに返還交渉することでロシアの対応に対する返答として経済制裁を段階的に解除させる方針を取るのではないかと考えている。

いずれにせよ、ロシアはウクライナ全土を掌握する能力がなく、またゼレンスキー政権が倒れないとなると別の戦争目標が必要になる。戦争の期間が長くなればなるほどロシア経済は崩壊に近づく。強いロシアを標榜してきたプーチンにとって、ロシア経済が窒息することは自身の政治生命だけではなく、自身の思想にとっても大きな落胆をもたらす。プーチンが開戦まで想定していたプランはすべて崩れていると言っても良いだろう。

 

(*素人が書いたもの。根拠や出典はない。)

 

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