2月28日_ウクライナ侵攻

フィールド, 丘, 納屋, 農地, 耕作地, 牧草地, 草, 草原, なだらかな丘, 自然, 風景

報道

2月26日、欧米西側諸国がSWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)からロシアを除外することを決定した。SWIFTとは国際的な銀行同士の取引の事務的な処理を行うネットワークだ。これが行われるとロシアと金の取引をすることが難しくなり、経済活動を締め付けることができる。例えば、Google PayやApple Payなどがロシアでは使えなくなる(*1)。また西側諸国がロシアの銀行に対する制裁も行っており、ロシアの経済にとって大きな打撃になることが予想される。これに対してロシアは核抑止部隊に高度警戒態勢を命令し、核兵器による脅迫を行った。開戦がまもないときから、プーチンはロシアは最大の核保有国のひとつだと発言しており、戦術核の訓練などをしていることからも、現実的な驚異になっている。

2月28日、ルーブルは暴落し過去最高安値になっている。このような中でロシアでは外貨を引き出そうする人がATMに長蛇の列を作った。また、ルーブル建てのビットコインの取引高が上昇している。ロシア中央銀行政策金利を9.5%から20%に緊急的に利上げし、財務省と合わせ外貨建て収入の80%を売却するように各企業に通達した。

ロシアとウクライナの停戦交渉は日本時間の本日に行われる予定になっているが実際に停戦になるかは不透明だ。

f:id:econ00:20220228185456p:plain

https://g.co/finance/RUB-USD?window=5D

 

 

*1

“ロシアがSWIFTから排除されれば、結果的にGoogle PayもApple Payも使えなくなる。”(https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2202/27/news061.html

 

参考:

 

--

ここからどうなるだろうか。

明らかなのはロシア軍の作戦はうまくいっていないということだ。多くの人は開戦当初ロシアによる電撃作戦が成功して、力による現状変更が行われると思っていたが、ウクライナ軍の抵抗と西側諸国の援助によりそれが防がれている。おそらく世界でもロシア国内でもこの結果は予想外だろう。これによりロシアの当局者は相当苛立ちや不満を持っていることが予想される。加えてロシア軍の中には長期的な国境線の駐留や、訓練と聞かされていたなどから士気が低い兵が多いと見られる。またウクライナの民間人にはできるだけ手を出さない方針が明確であり、シリアなどでやったような無差別爆撃などは行っていない。今後、ロシアが焦るほど、またウクライナの民間人がロシアに対して攻勢に出るほど、戦闘方法が雑になることが予想されるのではないか。

今回の停戦交渉は次のロシア軍の作戦にも関わる重要な交渉だが、ロシアはこの時点では要求を下げることが難しいと思われ、ウクライナはそれを飲むことができないだろう。そうなれば戦争は継続することになりさらに犠牲者を出しかねない。

ドイツやスウェーデンが方針転換しているように、ヨーロッパは軍拡の時代に入ることになる。これはロシアにとってより厳しい環境になることは間違いない。おそらくNATOに比較してロシアの優位性があるのは戦術核兵器の分野だろう。ロシアが追い込まれれば追い込まれるほど、このスイッチに手が伸びる可能性が増えることは想像に難しくない。

ロシアに対する経済的締付けは時間が伸びれば市民生活を中長期に渡って壊す事になり、ロシアの政権維持は難しくなるだろう。強いリーダシップにより、経済的に崩壊したロシアを復活させたプーチンだが、彼によりロシア経済が再度危機に直面するのはとても皮肉に映る。

古代ギリシアでは言葉が通じない相手をバルバロイと呼んでいた。言語が通じないということは、自分とは違うグループだと明確にわかるものだ。今回のロシアによるウクライナ侵攻は旧ソ連圏でお互いにロシア語が通じる。また同じスラブ人同士でもある。そこに対して無差別に攻撃を加えるのは避けたいという心境になることに疑いはない。ただし開戦当初はそうであっても互いに恨みを持つようになれば、その心理的な互いの均衡状態は崩れるだろう。泥沼化ではなく、短期的に停戦をすることが最も大事なことだと思う。

 

画像:https://pixabay.com/ja/photos/%e3%83%95%e3%82%a3%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%83%89-%e4%b8%98-%e7%b4%8d%e5%b1%8b-%e8%be%b2%e5%9c%b0-7025238/