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昨日7月8日、安倍元首相が凶弾に倒れた

憲政史上、最も長い在任期間だった首相経験者が、白昼に改造銃で武装した男により銃撃された。この出来事は日本のみならず世界にも速報され、起きるはずがないと思われた日本における銃撃事件と被害者が元首相という事件の衝撃は各国に驚きを持って受け入れられた。

特に日本では戦前の憲政体制へのテロ事件である五一五事件や二二六事件*1での首相や首相経験者に対する攻撃を想起させ、ネット上でも戦前への回帰や恐怖を思わせる書き込みが目立ち、民主主義や選挙を改めて重要だと考える人が多かった。一方で安倍元首相に対して批判的な人の中にはこの事件を別の見方で受け取る人がおり、それに対して攻撃が発生している。

 

今回の出来事により短期的に発生しうることについてリスト化した。

  • 選挙について
    • 選挙に与える影響は、期日数日前なので大きな趨勢が変わることはなく、事前の予測通り自民党の勝利になるだろう
    • 少なからず浮動票が自民党に入る
    • 接戦区は自民党が有利になる
  • 経済について
  • 外交について
    • 安倍元総理を特使として派遣することができなくなる
    • 対中、対韓に強硬な姿勢が軟化する可能性がある
  • 政局について
    • 自民党最大派閥の安倍派(清和会)の後継問題が出る
    • 保守、右派の支持が減少する

首相経験者に対する銃撃により、多くの人が動揺していることは間違いない。その中で民主主義が大事だと言いながら、反安倍派の口をつぐませる人たちがいることは事実だ。民主主義は他者に世相の空気を読ませたり、ましてや発言の機会に圧力をかけることではない。

戦前と今回の事件を地続きに考えるなら、重大事件や経済危機が連続しておこるさなかで、主義主張が異なる他者に対して、寛容性を失い、国民大衆が自発的に足並みを一定方向に揃えていくことが問題なのではないか。

反対派の考えを、はいそうですか、と飲み込むことは難しいが、一方で法律に規制されていないにも関わらず、考えの違いで反対派を罵り、攻撃し、除外することは、それこそ意思と意見の「強制された」均質化を招く。

日本という同船に乗る限り、感情的に受け入れられなくても、その人たちとともにあることが民主主義の根本的な基盤にあるのではないかと今回の事件を通じて思う。

(*根拠や出典はない。)

*1:今回の事件に近いのはむしろ原敬首相襲撃ではないかと思う。また犯人は元海上自衛官とあるが、在任期間も短く個人による犯行なので強調する必要のない職歴だと考えている。